ADHD(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)は注意欠陥多動症(注意欠陥多動性障害)という発達障害の種類で、この症状のある中学生に対してどのような接し方を考えるべきかお伝えしていきます。
ADHDの特徴や症状とは?
ADHDの障害があると5歳くらい年齢が後退すると言われ、とくに目立った行動を取ることが多いです。ADHDには3つの特徴があるとされています。
- 不注意症状
集中力に欠けておりムラが大きい、忘れ物をよくしてしまう、人の話を聞いていなかったり指示に従うことができない、順序を立てることが困難で屁理屈をいう、外部からの刺激によって注意散漫になる - 多動症状
椅子の上でモジモジしたり手足をソワソワさせる、席を離れて騒いだり走り回ったりする、高い所に昇りたがる、静かに遊ぶことができずしゃべり過ぎる - 衝動性
質問が終わるまで待てず答えてしまう、順番を待つことができない、人を邪魔したり妨害する、何事も一番じゃないと気が済まない、欲しいと思ったら我慢することができない
ADHDの子供は慣れない場所にいると初めの20分ほどはじっとしていても、その場に慣れたとたんに多動・衝動性が現れて大暴れすることがあります。
また不注意症状のひとつでもある「目立ちにくい」症状があると、いつもボーっとしていたり与えられた事を最後までやり遂げられないといった行動が見られます。この場合は多動という言葉のイメージからは想像しにくいため、周りから気付かれにくく注意が必要となります。
まずこのADHDの特性をしっかりと知った上で、子供の行動を予測して先回りをして接することが何よりも大切です。この基本的な特性を理解することによって、子供の微妙な変化を感じながら接し方を考えることができます。
ADHDの中学生への具体的な接し方
子供に対する接し方は、人それぞれ違いがあり親が子に接する、他の家庭の子に接する場合などにおいても相手がどのような性格をしているかなどいろいろと判断しつつ、柔軟に接することが大切です。また、ADHDの症状のある子供の接し方に関しても症状の理解をすることも必要です。
片付けができない、じっとしていられずにすぐにどこかにいってしまう、忘れ物が多い、宿題をやるよりも他に興味があることに夢中になってしまうなど親からみればかなり困ってしまうこともあります。
中学生の時期になると、思春期、成長期の時期にもなるためより感情的な面や体つきに関しても変化してくる大切な時期です。そのような時期において接し方はしっかりと配慮することも重要です。
参考:発達障害コミュニケーション指導者の講義を受けて思ったこと
接し方①ルールを決めたり褒めることでADHDの特性を抑える
ADHDの場合には、周囲とのトラブルになりやすく、理解を得られないと孤立してしまう可能性もあります。まずは、本人を理解してあげることが大切です。
また、うまく表現できずに大声を出してしまう場合やかんしゃくを起こして暴れてしまうこともありますが、そのことを叱りつけるのではなく、理由をきちんと聞いてあげることが重要です。
落ち着かせることやどのようなことに悩んでいるのかを周囲が聞くことにより、どうしてそのような行動をしてしまったのか?という点を理解を示すことができます。
また、いろいろとルールを決めてみるというのも効果的な接し方です。
片付けができない状態で放置をするのではなく、本人が理解しやすいようにシンプルなルールを作り守るようにきちんと説明をしておき、守ることができた場合にはほめてあげることです。
それ以外にも本人がきちんと出来たことや良いことをした場合には、しっかりと褒めてあげるようにしてください。できていないことに対して周囲にいる人々も目が行きがちですが、いい部分を探して褒めるということが大切です。
ダメな部分は怒る、繰り返しできていないことをひたすら指摘、怒鳴るのでは子供にかなりのストレスとなるだけで問題の解決にはなりません。暗い言葉は子供をより暗く、明るく肯定的な言葉は子供も明るくなります。
ADHDの中学生が反発してしまうのは親がそうさせる言葉をかけているからで、決して子供の性格などではありません。そのまま子供に返すのではなく、まず親のほうが自らの言葉を振り返ってみてください。
参考:【お便り】発達障害の中学生に向けた教育は「個性」を大事に!
接し方②温かい言葉を掛けることで反発する中学生も落ち着く
温かい態度を示すことによって、はじめて子供も落ち着いて素直になれます。子供に対してあまりプレッシャー、ストレスなど与えてしまうのはよくありません。
そのような状況では精神的に本人を追い込んでいくだけで、本人のためにも親や周囲にいる子供に関係してくる人々にとっても、まったくいい影響を与えません。ストレスを溜め込みやすい生活環境が整ってしまうことになり、悪循環な生活状況となってしまうだけです。
基本的なADHDの子供の接し方としては、まず褒めることが大事です。
間違ったことや失敗には諭す、同じ失敗をしないようにアドバイスをするように心がけてください。お互いがストレスを溜めない状況を作ることがとても重要なポイントといえます。
教えたことができていない、決めたことを守っていない、という点だけに着目してしまってアドバイス・サポートをする側が過度なストレスを溜め込んでしまうと、中学生など多感な時期の子供には敏感にそのイライラが伝わってしまうこともあります。
それが結果的に子供のストレスにつながって問題が悪化するだけですので、できるだけ精神的にゆとりを持てる状況を作りながら接するということが原則です。
参考:【お便り】発達障害をもつ中学生の育て方に「愛情」が大事な理由
接し方③プラス思考とゆとりをもってADHDの子供に接する
気持ちに余裕がない状態で人と接すると、ささいなことでもトラブルとなる可能性があります。これはADHDの人に対してだけの話ではなく、人とのコミュニケーションや生活においてもいえることです。
家庭内や職場などにおいても心にゆとりが持てず常にストレスを溜めている状態は、周囲に不快な思いをさせてしまうことも多くなるため、少しでもストレスを解消できるように気分転換を行うことが大切です。
また、あまりマイナスな思考にとらわれないことも重要なポイントといえるでしょう。できるだけポジティブな思考をでの行動や、人と接するように心がけるようにすることでストレスの緩和にもつながります。
特にADHDの多感な時期である中学生などに対しても、やさしく接するように常に心がけ理解を示せるように、相手の話をよく聞いてあげる精神的なゆとりを持つよう日々心がけることが大切です。
参考:発達障害の中学生が反抗期になったら‥?対処法について考える
ADHDの子供への接し方が難しいときの対処の仕方まとめ
人との接し方が難しい場合や人によっては得意ではない可能性もありますが、まずは相手のことを思いやる心を持ち、自身が今まで経験してきたことから相手にとってどのように行動しサポートをするのか、話し方や接し方などいろいろと考慮して相手とできるだけ打ち解ける間柄になれるように行動していきましょう。
時には感情的な行動や言動をしてしまいたくなることもあるでしょうが、できるだけ気持ちを落ち着けて冷静に相手を思いやり接することが、多感な時期の子供には必要なことでもあります。
大人でないという点、ADHDであるという点など子供側としてもいろいろと悩み、言葉や行動で表現したくてもうまく相手に伝えられない状況になることもあります。
そのように悩んでいる子供をケアすることは、親として大人として大切なことです。子供の気持ちをできるだけ理解する姿勢、そして子供が楽しく幸せな日々が過ごせるようにサポートをしてあげてください。
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